こんにちは、牧野内です。
今、僕はプラハに滞在しています。
ここはかつて各地から錬金術師たちが集い、芸術と科学、占星術などが開花した黄金街。毎日、神秘的な散歩を楽しんでいます。
さて。
フラットランドの日本語訳の更新が全章完了しました。
電子書籍のKindle版には僕の解説がありますので、ぜひそちらもお読みください。
19世紀にエドウィン・アボット・アボット(二次元世界のスクエア)によって書かれた
認識に覚醒を呼び込む物語。
『フラットランド―二次元の世界から多次元の冒険へ』
エドウィン・アボット・アボット(著) 牧野内 大史 (翻訳)
Flatland: A Romance of Many Dimensions
この物語は何度か日本で翻訳されていて、僕自身も学生時代に講談社ブルーバックスの『二次元の世界』高木茂男(訳)ではじめてこの物語を読みました。その他にも邦訳書が繰り返し出版されているものの、残念ながら現在はそのすべて絶版しています。
古本も希少価値のために高額になっており、手に入りにくい状況が続いているようです。
その現状を目にして、とても悲しく思ったことが今回の出版につながっています。こうした古典は自分だけでなく、自分のまわりの多くの人が手軽に母国語で読める状況にあってこそ価値がある。そのように僕は考えるからです。
訳は意訳(マッキー勝手訳)した部分も多いので、あくまで私訳と捉えてください。
いずれにしろ、この物語は時代を超え、現在も多くの人たちに影響を与えつづけている古典的な名著です。例えば、『ワープする宇宙』リサ・ランドール(著)、『エレガントな宇宙』ブライアン グリーン(著)などの多くのベストセラー書籍にも引用されています。
その設定からも数学や物理学の分野で話題になることが多く、こうした科学系の本や学校などで物語を耳にした方も多いと思います。僕も思い返してみると、大学の教授に紹介され図書館ではじめてこの本を手に取りました。
しかし、これを読んで僕は数学的に、科学的に、というよりは、もっと大きな認識のパラダイムシフトを経験したように思います。
社会に蔓延する常識をひっくり返す、そんな過激な作品にも感じられました……。
『フラットランド』は、物語を読み進めるうちに世界の見え方が変わってくる、そんなパワフルな物語です。
この世界をどう見るか?
それは、そのままイコール、
この自分をどう見るか?
ということです。
より高い次元についての認識は、そっくりそのまま、自分をどのような存在として認識するかに深くつながっているのでしょう。
ぜひ、この物語を読むことで訪れる、はっと目が覚めるような認識のパラダイムシフトを楽しんでください。
『フラットランド』の物語は、こちらからお読みいただけます。
第1部 この世界
「忍耐強くあれ、世界は広大なのだから」
(シェイクスピア『ロミオとジュリエット』第3幕からの引用)
第2部 ほかの世界
「ああ、すばらしい新世界。このような人たちがいるとは!」
(シェイクスピア『テンペスト』第5幕からの引用)
第15章 多次元の冒険 スペースランド(3次元)からの来訪者
幻の第23章
おまけ 次元Xの認識
『ワープする宇宙―5次元時空の謎を解く』リサ・ランドール(著)
『エレガントな宇宙』ブライアン・グリーン(著)
『ポアンカレ予想を解いた数学者』ドナル・オシア(著)
『もっとも美しい対称性』イアン・スチュアート(著)
など数々のサイエンス名著でも引用され、多くの研究者に影響を与え続けている130年前のイギリスで書かれたSF小説。
* あらすじ
この手記を書いた主人公は、フラットランドの住人である正方形のスクエア。2次元の世界で起きた3次元の球体スフィアとの邂逅から、彼の0次元からX次元までの果てしない探求がはじまる。
『フラットランド』 二次元の世界から多次元の冒険へ
エドウィン・アボット・アボット(著)
牧野内 大史 (翻訳)
自分を変える旅から、自分に還る旅へ。