錬金術の叡智

問題が引き出してくれるもの。

「問題は依然として、あなたの目の前に立ちはだかっている」

そう言われると、どこかホッとする人は多いのかもしれません。

問題解決とはときに

いちご大福からイチゴだけを取り出して食べようとする構図に似ています。

イチゴは単体で食べた方が美味しいのかもしれませんが、それは、いちご大福になった瞬間にそれはそれとして成立してしまっているんです。そこから、イチゴだけを取り出すことができる、と思い込んでしまうのは人の業というもの。

イチゴを取り出そうとした瞬間、それはイチゴと大福ではなく、なんかグチャグチャした餅と餡のカタマリになってしまいます。

システムあるあるとして……

結びつきにおいて他への影響を最小限に切り離しを決行するは、意図とは反対にその構造自体に致命傷を与えてしまうことがあります。

そんなとき問題は、ひとつレベルを劣化させた状況で現れてきます。

ハブ被害に困っていたある島では、その解決のためにハブよりも強いマングースを導入。結果、マングースはハブなど見向きもせず、天然記念物を捕食しはじめ100万年かけて築かれた独自の生態系を破壊しつくしたといいます。

問題解決はそれを解決させた結果、必ずしも自分にとってより望ましい現実を引き起こすわけではありません。

解決はけして解決を呼んでくれるわけではありません。

このことに氣づくと、僕たちは問題に振り回されるのではなく、問題を創造的に描いていくことができます。

「そもそも問題は存在しない」

そんな視点を、僕は問題解決ではなく「問題解放」と呼んでいます。

問題を解決するのではなく、解放する。

問題は解放されたら、問題としての姿を消し去ります。創り出した自分がそれを創り出し続けることをやめるからです。それを保持させていた努力をやめたら、それは問題として存続できなくなってしまいます。

これをどこかアタマだけで理解してしまうと、よくあるポジティブシンキングのような感覚で「問題は存在しない」と思い込もうとすることが、問題解決につながると考えてしまうようです。

安心してください。

あなたが問題解決に取り組んでいる間は、ちゃんと問題は存在してくれます。

そこで、

「問題は依然として立ちはだかっている」

そう言われると、どこかホッとする人は多いのかもしれません。

あなたが問題をみつめて超えていく可能を開いているかぎりにおいては

問題はリアルに存在します。

人がその業ゆえに、大福にイチゴを組み込むのも問題。そこからイチゴだけ取り出して食べたい、というヤツも問題。そこから無理やりイチゴを取り出し、ぐちゃぐちゃになっちゃうのも問題。オレはいちご大福ではなく塩豆大福が食べたいんだ、というのも問題。

そして、いちご大福をパクりと美味しくいただけちゃうのも、問題。

問題には、いつだってあなたが関わっています。

逆にいえば、あなたが関わらないのであれば、それは問題ではありません。

問題は、その出来事それ自体だけでは問題として存在し続けることはできないんです。

問題はそれ自体はネガティブなものもポジティブなものも持っていません。

ですから、それを問題として扱う自分自身を映し出します。

そして、問題はあなたを楽しませ、

問題はあなたを充実させ、

問題はあなたから表現を引き出してくれます。

自分を変える旅から、自分に還る旅へ。

> 世界は自分が創っている。

> 人生は間違いにあふれている。

> 失敗のしようがない選択。

> 固定されないということ。

ABOUT ME
マッキー
牧野内大史(まきのうち ひろし)作家、コンサルタント。著書に『人生のシフト』(徳間書店から)スピリチュアル翻訳者として著名な山川紘矢さん 亜希子さんご夫妻 あさりみちこさんとのセッション本(ヒカルランドから)や、監修翻訳を担当した『ソウル・オブ・マネー』(リン・ツイスト著)等がある。2014年にIFEC(国際フラワーエッセンス会議)に日本人ゲストとして登壇した。長野市在住。