これは自己啓発セミナーだけではなく、世間でもよく知られた言葉になっていますね。

『思考は現実化する』

僕ははじめてどこかの自己啓発セミナーでこの言葉を耳にして「なるほど!」と思ったものです。そこで教えられたことは、望む未来を念じて、アファメーションとイメージを繰り返すというような。まぁ、今でいう「引き寄せの法則」のようなものでした。

その後、原文をあたってみると、実はどうやら大本の方は

『思考は現実化する』 とは言ってなかったらしいんですね。

その方の死後、その本に影響を受けたお弟子さんやら、ビジネスマンやらが、こねくりまわして出来た言葉が、この『思考は現実化する』だったのです。実際、ウィキペディアでの日本語訳は『頭を使って豊かになろうね』だったりしますし、よくいわれる自己暗示の繰り返しような方法は残されたメッセージのほんの一部にしかすぎません。

ただ、この『思考は現実化する』という言葉が的外れというわけではなく、多くの経営者さんや、大きなことを実現された方々に話を聴いてみると、実際にこの言葉通りのことをおっしゃることが多いです。

ですから、ある側面では『思考は現実化する』は確かに、その通りなのです。

この言葉を僕が少し言い換えるなら、こうなります。

「実現したことは、ずっと考えていたことだった」

つまり、今、目の前に現実化していることを見てみれば、自分がずっとそれについて考えてやまないことだったのです。だから、その「結果」という視点からは、実現している現実には自分の想念(思考・考えること)が大切なんだ、思考が「原因」となる、と。そのようにも見えます。

おそらく、この話を素直に聴いてしまう人であれば、

「そっか!」

「考えることで(原因) → 夢が現実になるんだ(結果)」

このように考えてしまうかもしれません。

でも、それは本当でしょうか?

結果のために原因を創り出そうという発想だと、これは多くの場合、同じことの繰り返しになります。なぜなら、その人が望んでいるのは結果であって、原因を創り出すことではないはずだからです。

でも、僕たちが子どもの頃から教え込まれるのは「原因を創りなさい」ということについて、そればかりだったでしょう。大切で必要なのは、自分の望んだ結果ではなくて、「原因を創り出す努力」の方にあるのです。そうしたら立派な大人になれますよ、と。

加えて人間の脳には、報酬系という部分があり、原因を創り出すことに快感をおぼえるシステムがあります。今という原因が未来の結果につながっているなら、人はキモチイイと感じる仕組みがあります。宗教は「死んだ後の幸せ」をうたっていたりして、ちょっと変だなと思ったことはありませんか? 「死んだ後の幸せなんて、どうでもいいじゃん」と思ったりするのですが、「死んだ後、地獄に堕ちるよ!」といわれると、なんだかビビっちゃうのが人間です。

そして、僕ら人間は来ない未来の幸せのために、今現在を不幸にできる、ちょっぴりクレイジーな動物なのです。

時間軸を今現在に収束してみると、何が起きるでしょうか。

思考は現実化する。

いつ?

答えは「今この瞬間」となります。

あなたにとっての原因も結果も「今」でないのであれば、それは、あなたは「虚構」を創り出していることになります。量子物理学でよくいわれる「物質は僕たちが観測して、はじめてひとつの状態に収束する」とおっしゃるのなら……やはり。

それは結果が未来にあるのではなく。

今目の前の結果が、今この瞬間の原因によって、創造されるということなんですね。

多くの状況で「原因」だと考えられていたものは(思考を含めて)実は、「結果」にしか過ぎなかったということです。

本質的な「原因」は過去でも未来でもなく、今、現在にあります。

つまり、このメッセージをあなたが読み進めていることの「原因」は、このページをクリックして開いた20秒ほど「過去」にあるのではなく、今この行を呼んでいるこの瞬間にあるということです。

……ですから。

もう、せっせと原因(過去と未来)を創ることに注力するのはやめよう。

そして、さっさと結果(現在)を受け取ろう。

なぜなら、原因(現在)も今なのだから。

自分を変える旅から、自分に還る旅へ。

牧野内大史(まきのうち ひろし)作家、コンサルタント。著書に『人生のシフト』(徳間書店から)スピリチュアル翻訳者として著名な山川紘矢さん 亜希子さんご夫妻 あさりみちこさんとのセッション本(ヒカルランドから)や、監修翻訳を担当した『ソウル・オブ・マネー』(リン・ツイスト著)等がある。2014年にIFEC(国際フラワーエッセンス会議)に日本人ゲストとして登壇した。長野市在住。