お金と自己表現

量子コンピュータと陰陽論。

量子コンピュータって?

先日の講演参加者から量子コンピューターについてのご質問をメールでいただきました。簡単ではありますが、ここで答えておきます(わからない部分があれば、またメールで教えてください)。

何年か前、カナダの企業D-Wave Systemsが量子コンピュータを製作した!と発表して話題なりました。これはこれまでのコンピューターと比べて、どのあたりがパラダイム・シフトなのでしょうか?

dwave
photo by D-Wave

量子コンピューターって何?

まず、コンピューターとは電子「計算」機。特に、「計算のステップを記憶しておくことができる」計算道具です。その計算は仕組みを見ればたった2つの数字、0と1で行われているのは、よく知られていますよね。

これを2進数といい、「陰と陽」にも例えられます。
(この陰陽を僕なりに言い換えたのが TaoTao です)

「10進数で計算するのではなく、0陰 と 1陽 で計算しちゃいましょう」

これが、これまでの陰陽計算のパラダイムです。ここで少しでも陰陽論に触れたことがあれば、この計算方法が本来の陰陽の意味からは少しズレた発想だということがわかります。陰と陽はけして別のものではないからです。

ライプニッツは易経を見て、コンピューターの基礎となる「2進数での計算」を思いついたといいます。

けれども、よくよく見れば、陰陽とは単純に0と1ではありません。

0陰と1陽が相補対待であること。

陰陽論の根底にあるのは「すべてのものが陰と陽の2つに別れる」という理屈ではなく、「陰と陽は同じものだ」という視点です。

この意味で陰陽をあてはめるなら、通常の古典ビットよりも量子ビットの方が、本来の意味に沿っているように見えます。

量子ビットって何?

通常のビットは「0か1」です。
量子ビットは同時に「0と1」(量子力学的な重ね合わせ)なんです。

量子ビットと通常ビットのちがい

ん? これでどうやって計算するの??

僕たちは計算を階段(ステップ)を上がっていくような形式で進めていきます。

例えば、10個の数を足し合わせるなら、まず最初の2つを足すわけです。そしてその答えに対して、次の数を足していきます。次、次、次、そうやって、9回の足し算を繰り返すわけですね。9回の「足す」という計算の作業があって、はじめて「答え」が導かれる。

これが、今までのパラダイム。

階段のようにステップで見ていく考え方がこれまでの計算だとしたら、量子的な計算は一瞬で全体を見渡すような並列計算となります。

すると、最終的な「答え」と、10個の数を「足す」ことは、別々にあるものではありません。そのような「関係」が可能性としてあるとしたら、答えはすでに可能性の中に1つの式として存在しているんです。そこで、けして9回の計算を経るわけではなく、たった1回の計算でポンと全体を出現させるわけです。

例えば、1桁の2進数を足すには、こちらの4つのパターンがあります。2進数では2でケタ上りします。右側の答えは、可能性として3つの数がありますね。左側の数が1つ決まれば、可能性は2つに減ります。2つ決まれば、可能性はたった1つです。

00+00=00
01+00=01
00+01=01
01+01=10

通常の古典ビットはこれを4つの式で表現しますが、量子ビットは重ね合わせがあるので1つの式で同時に表現することができます。

こうなる。
量子ビットの計算

量子計算では、ここには4つの可能性があり、たったひとつの答えの(設定された関係に合った)式に行き着くようになっています。式を読んで答えを計算するのではなく、そのまま式全体を導きます。

答えとして選ばれた1つの式は、その時の設定でもっとも安定した式ということです。

質問と答えは同時に存在している

すべての可能性が同時に存在している状態……

この式を観察してみください。

「◯+◯は何?」という質問があって、考えた結果のイコールの先に、答えが生じるわけではありません。

答えと質問は、同じ時間と同じ場所に存在しています。

ここにいくつかの数を当てはめれば、安定した状態(=答えの可能性)は、ひとつになります。多数の可能性から、たったひとつの解が得られるということです。それは計算作業を経由せず、設定した関係で「答え」をバンッと出すということです。ソロバンをパチパチせずに、ただジャッと「御明算!」を出してしまう、という感じ(擬音多め)。

これができるのは、世界の原因と結果がステップで組み合わさっているわけではないからです。その時間軸を超えてみれば、原因と結果が同時に存在しています。

このイメージで伝わるでしょうか。

エネルギーには、高い状態から低い状態へ行こうとする性質があります。高いところにあるものは、自然と低い場所へ「落ちる」わけです。この性質から量子アニーリング(量子焼きなまし法)では、もっとも安定する答えに着地します。

いちいちコツコツ計算を積み重ねず、すべてを一瞥してチャッチャの「チャッ」で答えが出る。

階段の最上階にゴールフラッグ(正解)があったとしたら、一見、そこにたどり着くためには「ゴールまでの距離を何らかの作業で解消していかなくてはいけない」と考えます。

量子コンピューターは、1段、1段、階段を登っていくことをしません。

逆です。

そのまま、フラッグは落下する。

TSI

ゴールを目指すのではなく、ゴールの方にやってきてもらうのです。

自分を変える旅から、自分に還る旅へ。

フラッグは落下する フラットランド―二次元の世界から多次元の冒険へ

『フラットランド ― 二次元の世界から多次元の冒険へ』

ABOUT ME
マッキー
牧野内大史(まきのうち ひろし)作家、コンサルタント。著書に『人生のシフト』(徳間書店から)スピリチュアル翻訳者として著名な山川紘矢さん 亜希子さんご夫妻 あさりみちこさんとのセッション本(ヒカルランドから)や、監修翻訳を担当した『ソウル・オブ・マネー』(リン・ツイスト著)等がある。2014年にIFEC(国際フラワーエッセンス会議)に日本人ゲストとして登壇した。長野市在住。