タキオン:思い出のブライディ・マーフィー(3)

潜在意識:思い出のブライディ・マーフィー(2)

過去や未来の自分にメールを送ることができたら……

過去に戻ってあの失敗をしないように忠告を送ったり、
未来だからこそわかる成功の秘訣を詳細に伝えたり、
あれもこれも、色々なことができるのに……

実は、3年前の自分にメールを送る方法があります。

2011年の9月、名古屋大などが参加する国際共同研究グループが素粒子の一種である「ニュートリノが光より速く飛んでいる」という観測結果を発表しました。

このOPERA実験(オペラ実験)ではニュートリノをスイスのジュネーブ郊外CERN(セルン)から、700キロ以上離れたイタリアのグランサッソ研究所まで飛ばしたのです。その結果、ニュートリノは光よりも、わずかに1億分の6秒速く到達していることがわかりました。

光の速度より0.0025%速く飛んだわけです。

……当時、新聞やテレビでも大きく報道されたので記憶されている方も多いかと思う、この大発見の大発表。翌年、なんとGPSとコンピューターをつなぐケーブルのゆるみから出た「誤差」であったことが正式に報告されています。む、残念。

いずれにしろ、このニュースによって、

「タキオン」という言葉の知名度は飛躍的に上がったと思います。

タキオンとは?

あくまでの理論上の「光よりも速い粒子」です。

特殊相対性理論からすれば、質量を持つものは光の速さを超えることができません。このタキオンの質量は虚数です。重さが虚数、その数字を二乗するとマイナスになる数値なんですね。現在の人類の科学では、そもそも観測できるのは実数のみで、虚数を測ることはけしてできません。

だからタキオンは幽霊のように、ミエナイ、キコエナイ、サワレナイ。

オペラ実験がなぜ話題になったのか? というと、これが実際に正しかったとしたら「タイムマシンが実現できる」そんな可能性が出てきてしまうからです。

光の速さに近づけば近づくほど、その移動する観測者の時間は遅くなります。そして光の速さに到達すると、その時間は止まります。さらに光を超えた場合、それは時間を遡りはじめます。

例えば、僕がタキオンメールを送信したら

3年前の僕にそのメールが届いたりしちゃうのです。

(※ 説明がややこしいのでこれは読み飛ばして欲しい解説だけれども、仮に10年前の2007年に光の6割の速さの宇宙船を地球から出発させたとしますね。地球で2017年の1月の時点には、6光年離れた宇宙船の中の時計はゆっくり流れるから2015年の1月になっています。その宇宙船に光の10倍速度のタキオンメールを送ると、地球時間2017年の8月には6.4光年先でメールが到着します。このとき宇宙船ではまだ2015年の7月です。さらにこの宇宙船から見た地球は、なんとメールが届いた時点で2013年の10月です。宇宙船から観察すると地球は猛スピードで移動しているから、地球から見た宇宙船の時間がゆっくりなのと同じくらい、宇宙船から見た地球の時間はゆっくり流れているわけです。そのまま、受け取ったメールを地球へ即転送すると、地球に届くのは2014年の3月になります、ふう。)

以上、この例では

2017年に送ったタキオンメールは2014年に届く!

というわけで、理論上はタキオンメールを使用して僕は3年前の自分にメールを送ることができました。

僕たちがリアルに経験している時間軸はひとつ。

一本の道。

それは至極当然に当たり前の真実…だと、僕たちは思いこんでいますよね。

しかし、宇宙におけるアクチュアルな時間軸は観測者によって変わります。

時間にも空間にも、すべてに「易」というバリエーションが存在します。

相対性理論では自分と相手の相対速度によって同時の概念が変わります。

同時多発的に何かが起きても、動いている人から見たらけして同時には起きていない。

お互いの距離がものすごいスピードで離れているとしたら、お互い様に、自分から見たら相手はスローモーションになっていると同時に、相手から見たら自分がスローモーションになっています。

これは時間軸の固定されたリアルな世界を考えていると矛盾しているように感じられるものの、実際のアクチュアルな宇宙に照らし合わせてみれば合理的なことなのです。

光速になったとき、時計は止まります。

そして、光を超えた超光速になったとき、今度は逆向きに時間が流れはじめます。

つまり、タイムマシンは理論上は可能です。

タイムマシン
The Time Machine 1960

もし、タイムマシンが宇宙から発掘されたとしたら色々な矛盾が出てくるだろう、という研究者もいます。中でも有名なのは、

「自分殺しのパラドックス」

でしょう。

例えば、タイムマシンで過去に戻ってタイムマシンに乗る前の自分を殺してしまう。すると、その自分はタイムマシンに乗ることができません……というパラドックス(矛盾)。

これについても色々な研究者が矛盾しないように様々な理論を考えています。

ひとつは「ソフトタッチ」という概念です。

解答案1:「ソフト・タッチ」理論

未来の自分が、タイムマシンに乗ろうとする過去の自分を妨害したとき、その影響は「ソフトタッチになる」というアイデアです。相手に軽く触れること(ソフトタッチ)はできるのだけれど、あらかじめ起きてしまった出来事の運命はけして変えることができない。

おさわりOKだけど、あくまでソフトタッチ、決まった運命はそのままね。

だから、モンダイナイ。というもの。

他に、ソフトタッチ以外の説明も紹介するなら、タッチしたものが入れ替わってループするなんていうアイデアもあります。

解答案2:「バトン・タッチ」理論

タイムマシンに乗る前に過去の自分Aを未来の自分Bが殺すと、そのまま自分Bは再びタイムマシンに乗って過去の自分Aを殺す、この出来事が輪っかになってBはひたすら繰り返す、無限ループ。自分A(過去)と自分B(未来)がバトンタッチして、同じようにタイムマシンに乗って行くので、あらかじめ決まった運命は変わらず矛盾しない。

自分Aと自分Bが交代して永遠に決められた運命を繰り返すんだ。

だから、モンダイナイ。というもの。

上記の2つの理論は、運命が決まっていて変わらないことを前提としています。

ソフトタッチも、バトンタッチも、僕にとっては

どちらもクレイジーな理屈だと思えます。

同じようにクレイジーな理論であっても、エヴェレットの多世界解釈によるパラレルな宇宙の方がこの辺りのミステリーをすっきり説明できるクレイジーな理論のように思うのですが、どうなのでしょうか?

解答案3:運命は決まっているが、その運命のバリエーションは無数にあるのだ。

宇宙は「易」である。

易とは宇宙の可能性、その無数のバリエーション。

僕たちはその無数の宇宙の可能性を、パラレルシフトしている。

……。

僕たちにとって、リアルな人生は一本道のように見えます。

運命はすでに決まっていて、抗うことは出来ない固定されたもの。

動かしがたい決定事項。

けれども、それは本当でしょうか?

真実、

それは固定的で決定的なものだとしても、実は別次元にちらばっている無数の可能性の中の、ほんのほんのひと粒、にしかすぎません。

そして、僕たちはその易の中、一瞬、一瞬をパラレルシフトしていく時空の旅人です。

……つづく。
意識状態:思い出のブライディ・マーフィー(4)

自分を変える旅から、自分に還る旅へ。

牧野内大史(まきのうち ひろし)作家、コンサルタント。著書に『人生のシフト』(徳間書店から)スピリチュアル翻訳者として著名な山川紘矢さん 亜希子さんご夫妻 あさりみちこさんとのセッション本(ヒカルランドから)や、監修翻訳を担当した『ソウル・オブ・マネー』(リン・ツイスト著)等がある。2014年にIFEC(国際フラワーエッセンス会議)に日本人ゲストとして登壇した。長野市在住。