お金と自己表現

ゴール・チェーンの崩壊。

今日は新月ですね。

「理由を必要としない空白」

その空白にたいていの答えがあるものです。

例えば、ゴールを設定したとき、その向かうべき場所については様々な条件があり、その条件のひとつひとつにも条件があります。つながりが連なって構造化されています。僕はその連鎖を

「ゴール・チェーン」

と呼んでいます。

ゴールを達成したら、いったい何が起きるでしょうか?

ゴールチェーン

そこにある構造はその到達によって崩壊します。

ゴールの達成とは新しいものを創り出すというより、すでにあった「ゴールに向かっている自分」というゴール構造を消し去ることです。

ゴール構造が消えると、人は心から安堵します。

「ほっ」

自分が前よりもちょっとだけ好きになり、自分をより認めることができるようになります。ですから、また再び次のゴールを目指すのです。それで再びゴール構造を創造します。

ゴール構造の崩壊には、もうひとつの方法が存在します。

ゴールに向かうのではなく……それは

空に落下することです。

すると、ゴールに到達しなくてもゴール構造は消えます。

ゴールチェーン

なぜかというと、すべての根源的な意図は、上の図にあるような三角形の「点」にあるからです。点にはそこまでの距離という概念も、それに含まれる情報もありません。

意識は嘘をつくことによって、ゴールを目指します。

その嘘が鎖のようにつながった状態がゴール・チェーンであり、それが集まってゴール構造を創り出しています。「未だ辿り着けない」と思いこむことによって、ゴールまでの距離と到達までの時間が完成するわけです。

つまり、意識が経験すこの世界だって嘘の連鎖でできていて、実は、ゴールまでの距離も時間も無いというアクチュアルな真実を隠蔽することによって、このリアル世界を創り出すことができています。

僕たちは知ってることに知らないふりをすることで知るという経験ができますし、氣づいていることに氣づいていないふりをすることで氣づく瞬間を経験できます。

まー、言葉にするとヤヤコシイ図式です。

空への落下とは、例えば

「どうしたらゴールに近づけるのか?」

という問いを 「なぜ?」 に変えてみること。

これについて、『人生のシフト』という本で、意図問答を紹介しています。この意図問答では、このゴールチェーンを達成していくのではなく、チェーンのありのままを見て消去していくプロセスです。

ほとんどの人は、ゴールに向かって前進するためには「意志の力」が必要だと考えます。そのためには自分を押さえつけることが必要だと習ってきました。前進のためには「意志の力」を発揮して、自分をその方向へ向かうように、上手に抑圧する必要がある。そして抑圧によって距離を埋めていく。それが最短ルート。

けれども、ちがうのです。

本当の意味で人を前進させるのは

「意図の力」です。

意図問答はゴールチェーンにある嘘を見破り、時間と空間にかけられている魔法を解いて、ありのままの意図を明らかにします。すると、ゴールへの到達はどちらでもよくて、質的にはすでに達成されている自分を発見します。

意図問答のやり方自体は単純です。ただ同じ問いを問いかけて深く掘り進めていくというもの。たとえば、「したいこと」や「したこと」をひとつあげて、「それはなぜ?」と問いかけるわけです。

そのなぜ?を、過去と未来へ投げる否定形ではなくて、「さらに自分が創り出したいもの」もしくは、「さらに自分が深い部分で望んでいること」へさらにさらにとテンポよく問いかけていきます。

問「なぜ今それを飲んでいるの?」
答「コーヒーの香りを楽しみたいから」
問「なぜ、コーヒーの香りを楽しみたいの?」
答「頭がすっきりして新月のブログ記事がこんなふうに書けるし」
問「なぜ、……」繰り返し、繰り返し。

繰り返される問いに対してもちろん正しい答えはありません。

自分自身でしっくりくる言葉を探っていく……するとその答えは、固定されていて確固たる頭で納得のいくものより、抽象度が高くて言葉では表現しがたい感性、目に見える形があるものではなく目に見えない質、他でもない自分の内側に響いている真実となっていきます。

光、喜び、空(くう)、虚無、すべての源。

そこで出てきた言葉は、ありがちな言葉だったとしても、言葉を超えた意図を持っています。

頭で考えることに慣れている僕たちは、問いに対して正しい正解を探そうとします。自分の内に響く真実よりも、一般的で、きれいにまとまった理由、誰から見ても明確な理由を探そうとします。

セミナー慣れしすぎている人は、大抵、セミナー用のカードを持っているので、それをまず出してきます。思考で編み出した、人に聞かせてもかまわない、小慣れた答えがそれです。そのカードによって自分は目をそらし続けることができます。

ですから、深く理由を探り出そうとすると、心がざわざわして、かしこい声が耳元でささやきはじめるんです。思考の声はとても信憑性があるような音だけど、どこか、せかせかしていて、焦燥感があり、圧迫された感覚を持っています。

本当の答えはそれを超えたところにあります。

点の意識から目の前のゴールを見据えるということ。

理由のいっさいを手放して、

自分を信頼してみることからスタートすること。

理由があるから信頼するのではなくて、

ただ信頼すると今この瞬間に決めてから取り掛かること。

直に、その信頼に触れてしまえば、信じようとする理由もない、そもそも疑う理由すらありません。

いかなる理由づけもいらない。

そんなときにこそ、自分なりの、自分だけの、自分だからこその一歩を踏み出すことができるのだと思います。

ABOUT ME
マッキー
牧野内大史(まきのうち ひろし)作家、コンサルタント。著書に『人生のシフト』(徳間書店から)スピリチュアル翻訳者として著名な山川紘矢さん 亜希子さんご夫妻 あさりみちこさんとのセッション本(ヒカルランドから)や、監修翻訳を担当した『ソウル・オブ・マネー』(リン・ツイスト著)等がある。2014年にIFEC(国際フラワーエッセンス会議)に日本人ゲストとして登壇した。長野市在住。