『2001年 宇宙の旅』のクラークは、
「2030年までに人類がほかの惑星の知的生命体と交信する」
と予測しました。
だとしたら、あと10年ですね。
このファーストコンタクトまでの10年。
まだまだ色々な課題がありますが、僕も『ソウルオブマネー』で触れた通り、そのひとつのシフトは「僕たちが普段つかっているお金」でしょう。なぜなら、それが戦争の原因をつくっているシステムだからです。
これまでの数年、または、これからの数年で、お金が幻想であることを理性・理屈で理解できない人はいないと思います。
ただですね、お金って合意され、共有されている夢なので、なかなか独りだけ「いちぬけた!」とは言い切れない問題です。ですから、実際にお金で一喜一憂するのはとても自然なことですし、僕たちはそのように反応するよう念入りに教育されてきました。
最近の面白い変化でいえば、メルカリって(ヤフオクでもいいけど)売って買ってをメルカリ通貨でやり取りして、YEN「円」として銀行に引き出すことはあまりない人もいます。ゆえにこのシステムは「メルカリ経済圏」と評されるものの、何かのインタビューを読んだらメルカリ役員はそのように呼ばれることに危機感を持っていそうでした。
システムによる囲い込みが新しい時代にそぐわないことを肌で感じているのかもしれません。
こうした流れ……現在は胴元が存在して安くても1割ほどのピンハネを行っています。ですから、いずれ、より自由なサービスが登場するはずです。
これは必然な流れですが、当然、過去のパラダイムは必死に抵抗するわけです。
新しい仕組みとしては、ブロックチェーンを使った書き換え不能のデータベースによる、仲介業者を通さないやり取りが実現し、よりオープンネットワーク的になっていきます。ここではピンハネがない、というのも重要ですが、GAFA等に「情報を独り占めさせない」というのもポイントです。
現行の資本主義では、情報が最大の仕入れとなっています。
『ソウルオブマネー』でリンは僕たちは「消費者」になった、といいましたが……
いつの間にか、僕たちは
「商品」になったんですね。
システムの利用者、ユーザーはそのシステムの最大の仕入れです。
つまり、GAFAが売ってるのはモノやサービスではなく、僕たち(の情報)です。
GAFAが支配する世界を
「少数の支配者と多数の農奴が生きる世界」
なんて表現する経済学者もいます。
今、この少数の支配者が創る未来を脅かしているのが、サトシ・ナカモトという謎の人物が提案したブロックチェーン技術。
詳細はどーでもいいんですが、ざっと説明すると、これは情報が公開されていて記録したら削除できないデータベースで、管理者(支配者)が存在しにくい仕組みとして提案されたものです。お金の本質は「情報の記録」なので(メルカリのアカウントの数字がやり取りで変わるような)物としての紙幣に幻想を見ていても、これからも生活にどんどん「あ、情報なんだな!」と実感する出来事が増えていくでしょうね。
ブロックチェーンは暗号通貨(これ「仮想通貨」ともいいますが、だとしたらすべての通貨が「仮想」です)で有名になりましたが、もっと先に拡がるのは「個人の証明」だと思います。
私が私であることを、マイナンバーのように管理されずに証明させます。
実例では、シリア難民の身元保証でもブロックチェーン技術が使われました。
人は、
「私が私であること」
を証明できることで、自由になります。
閉じられた世界で生きなくてよくなるので、難民が難民でなくなります。村人が自分の生まれた村から出ても生きていける、ということです。
それって、僕たちが旅に出るのにパスポートとカードさえ持っていれば、あまり困らないのと同じです。パスポートもカードも、それ自体が機能を持っているというより、情報を記録するためのID、証明書でしょう。その情報が自由に持ち運べるようになると、村という枠組みから出ても生きていくことができます。
いずれにせよ、実体を持たない通貨がうまくいった例は過去にありません。
いつでも、ひっくりかえし、易経でいう「沢火革」が起きます。
その昔、17世紀、絞首刑から逃れて銀行家になったジョン・ローは、アムステルダムで貨幣理論を構築し、不換紙幣を生み出しました。後に、かの有名なミシシッピ計画は大失敗、ローは最終的に逃亡します。
彼はとても不思議な人物で銀行の歴史を語る上で外せない偉人であり、ギャンブラーであり、人殺し、悪名高い犯罪者でもあります。
ぜひ彼の人生を映画化してほしいけど、スポンサーはつかなさそう。
……。
これからの動きとしては、数年以内にGAFA規制を考える頭のあるユーロ圏である大きな革命が起きるのでしょう。もちろん、数年前に施行されたGDPRはその布石になっています。それは果たして新しいシステムの提案になるのか? そして、どんなカタチになるのか?
その波紋が、やがて来る2030年につながっています。
そう考えてみると、
「もうすぐ」
じゃないですか?
この絵は、ニコラ・カミーユ・フラマリオンが130年前に描いた版画に僕が色を塗ってみました。
世界観のシフト……具体的には、地動説を生きてきた人が天動説に目覚めた瞬間です。
これまで見えていたはずの世界が、まったくちがった世界として現れたとき
「そうだったのか!」
驚くような未来はすぐそこまでやって来ています。
それでは。
自分を変える旅から、自分に還る旅へ。