「ミステリー・ボックス」ってご存知ですか?
「ブラック・ボックス」というのは、箱の中身がわからない、または中身を考慮する必要がない箱のことをいいます。
それをもじってミステリー・ボックスとは、そもそも中身どころか、その箱自体も「現実には存在しないボックス」のことをいいます。
これは詐欺によく使われる、心理的な手法です。
例えば、霊感商法などでは相手の心に言葉たくみにミステリー・ボックスを形成します。前世のカルマがどーたら、先祖の魂がどーたら、未消化の怨霊が……とか、すべて箱の中身どころか、その箱自体が存在しません。
その説明の理屈は、冷静に考えたら、どう考えても意味不明です。もちろん彼らにはミステリー・ボックスを形成するための、とても巧妙なマニュアルが手元にあるわけです。そして、一度その手にひっかかってしまうと、
・家族間のコミュニケーションの問題も、
・会社の業績が思うように上がらない問題も、
・大好きなあのこに告白できない問題も、
あらゆる問題。
そのすべてが、ミステリー・ボックス、に還元されていきます。
「そりゃアナタ、怖い怨霊のせいなのよ!」
「ああ、ぜんぶ怨霊のせいだったんだ(怨霊退散したらすべてが解決する)」
誤解に基づくスピとか悟りビジネスなども、似たところがありますよね。
悟り、それ自体はブラック・ボックスです。その中身が何か、わかっている人には必要ないものです。さらに悟りとして示される何か特別なそのもの、その経験は経験したことがない人には想像もできないもの。そもそも箱ではなく箱を消すことだから、それは言葉で表現できるものではありません。箱がない、その意味でミステリー・ボックスです。
誤解のないように言っておきますと。
僕はミステリー・ボックス自体は否定していません。
ディスってません。
なぜかというと、それは過去の思考パターンからするりと抜け出すアプローチなんです。
人間は、自分のゴールが明確に見えているうちは、その想定内の、明確に見えているゴールに拘ってしまう生き物です。自分を自分のイメージの範疇に押し込めて、自分のジャマをするのは、いつだって自分なんです。
そこで、自分を消さずに。
過去の思い込みを抱えたまま。
思考パターンから、するっと抜け出す効果的な方法があります。
その縛られている自分から、予想外の思わぬ幸運が起きること。想定外の結果に導かれること。思い込みの範囲外への展開を導き出してくれるのが……
「自分の思考では完全に理解できない何か」
つまり = ミステリー・ボックス というわけです。
別の言葉でいえば、神秘体験。
それは信念を扱うためのひとつの手法です。過去の固定された信念をひょいっと超えるために利用される箱なんです。
けれども、その箱がいつの間にか、がんじがらめの条件付けになってきて……
「このカルマを解消しないと、あなたは幸せになれないよ」
となってきて、さらに、なぜか、
「そんなときはコレ! 100万円のカルマバスター!!」
「安いッ!!!」
となってきたときに。
「おやおや」
と思って欲しいんですね。
「おやおや、おやおやおや?」と。
このミステリー・ボックスを相手に植え付けることを
「シーディング」といいます。
シーディングは顕在意識から潜在意識に対して行われます。
何年か前に『インセプション』という映画が公開されましたが、ここに登場する主人公ディカプリオたちがやっていたのが、まさにシーディングです。この映画に出てくるエクストラクションを含め、このような行為(映画内ではインセプションと呼ばれていた)を実行するコンサルタントは実在します。
僕は当時、この映画の情報を耳にして、ずいぶんヤバイネタに手を出すな、と思いましたが、実際に観賞してみると、問題のスケールをサイズダウンして(なぜかターゲットがいち企業の御曹司)さらに、やたらSFっぽく(=作り物っぽく)展開させて、上手にぼやかしてましたね。
どうひっくり返っても、フィクションとしてしか観れません。
もう一度、その視点でこの映画を観てみてください。
この世界の裏側、を覗くことができる……かも、しれませんよ。
さて。
以上を前提に、ここからが本題です。
これまでのネタバレを聴いただけでも、あなたはシーディングされた後でもきっと必要なとき、必要な状況で、「おやおや」と、これまで僕がしたこの話をふと思い出すはずです。
あなたに一切の選択肢が与えられず
唯一絶対の解決方法として提示されるものは
すべてを、まず、おやってくださいませ。
「おやおや?」 と、おやってください。
そして、さらにそれよりも根本的に
シーディングされた信念自体を一瞬で吹き飛ばす、究極のネタバレがあります。
(つづく)
自分を変える旅から、自分に還る旅へ。