何をレンダリングするか?
そして、何をしないのか。
Unityとは
ユニティ・テクノロジーズが開発した、マルチプラットフォーム対応ゲームエンジン。
ゲームエンジンというのは個人でもプロと同じ環境でゲームを作れるように効率化されたソフトウェアのこと。ここでは専用のエディタが用意されていて、難しいコードを書かなくても、例えばクリックとドラック&ドロップでゲーム世界を創っていくことができたりします。
UnityはドラゴンクエストVIII(スマホ版)が採用したことでニュースにも。去年、リリースされた『Adam』というデモ映像を見たときはびっくししました。
ゲームはプレイヤーが自由に操作するものです。そのため、あらかじめレンダリングできません。レンダリングというのは、高次情報から具体的な映像や音声、その質感を生成する作業。その世界の、書き出しのことです。
僕も以前は仕事でよく行っていたのですが、アングルを設定しておいて3D映像を書き出す(=レンダリング)します。すると、ほんの数秒の映像のレンダリングに場合によっては、2、3時間かかったりするんですね。たいてい、レンダリングがはじまったら、「晩ご飯に行こー!」とかなってたわけです。
アクチュアルな情報ソースをリアルに落とし込むためには、時間がかかります。
リアルは確定した世界のため情報量が膨大なのです。その値をハッキリ確定するためには、膨大な計算しなくてはいけないから、なんですね。
ゲーム世界では、この計算処理をリアルタイムに行っています。それはあらかじめ決められたアングルだけではなく、プレイヤーが前後左右、自由にその世界を動き回るから、この値を最初から決めておけないためです。
例えば、僕たちのこの世界でコーヒーカップをいつもとはちがう角度で眺めたら、
「タダイマ読ミコミ中デス……」
とはなりませんよね。すべてリアルタイムで、パッと見れます。
それが、現実世界(リアル)というものです。
そう、それで『Adam』これがリアルタイムの映像。ぜひ、見てみてください。
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写真・動画 Unity – Adam より
え? これ映画ですか?
CG映画のような出来。
この映像をリアルタイムで書き出している、というのです。
つまり、リアルタイムで操作することもできます。
これらの技術がひと握りのクリエイターだけなく、誰にでも使えるな未来が今やってきているんですね(ゲームエンジンUnityは大企業はもちろん、インディーズのクリエイター、資金状況によっては無料で使うこともできるそうです)。
個人でこのレベルのCG映画を製作する人も出てくるでしょう。
つい先日、某所にて最新のゲームを少しプレイさせていただいたのですが、ホント今の技術はスゴイです。ほんの何年かでぐっと飛躍的に進化しているなと感じます。
昔のゲームってのは、思い返せばこんな感じですよ……
THE RACER PC8001 ちなみに僕もこの世代なのですが、昔のレーシングゲームはこんな感じ。技術の差は天と地ほども。
けれども、僕たちはこのような単純な直線や、記号化されたキャラクターに、完全に自分を同一化させ、ゲーム世界を楽しんでいました。
この原点に振り返ることが、映画やゲーム業界にとっての、次の進化があります。
ここで、予言めいたことを書いておくと……
人間は外にあるリアリティに同調するのでなくて、自分の内側でリアリティを統合させます。ですから、ゲーム世界というのは、詳細な情報を盛り込んだ手紙よりも「テレパシー」に近いと、僕は考えています。
世界観を共有するテレパシー……
そのため、今後、きっとゲームの製作チームには心理学者が加わったり、催眠療法士がコンサルタントとして関わるケースも出てくるでしょう。ゲーム世界はコンピューターの中にあるのではなくて、人間の中にあるからです。 マッキー勝手予言
ゲーム世界の醍醐味は、自分の中で起きる体験にあります。
描かれたものよりも、描かれないものにこそ、人間が自ら描く余地があります。
つまり……
リアリティの追求には、「何をどうレンダリングするか?」よりも
実は「何をどうレンダリングしないのか?」の方が重要なんですね。
自分を変える旅から、自分に還る旅へ。