パラレルシフト

スプーンなんてないよ There is no spoon

「スプーンを曲げようとしちゃだめだよ。
 それはできない。かわりに、ただ真実を見ようとすればいいんだ」

「真実って?」

「スプーンなんてないんだよ」

「スプーンがない?」

「そうすればわかるよ。
 スプーンは曲がらない、曲がるのは自分自身なのさ」

『マトリックス』(The Matrix)より、ネオ Neo と少年 Spoon boy のやり取りから。

ネオがモーフィアスと共に預言者オラクルに会いにいったとき、たくさんの子どもたちを目にします。その中の一人から、スプーン曲げについて、その本質を伝えられました。この世界は、仮想現実マトリックス。そのアドバイスを聞いた後、ネオがスプーンをみつめるとぐにゃりと曲がってしまいます。この仮想世界の真実をつかんだ重要なシーンです。

マハトマ・ガンジーはこんな言葉をのこしています。

You must be the change you want to see in the world.

この世界であなたが見たいと願う変化に、あなた自身がなりなさい。

僕たちは不満があるとき、自分の外側に変化を求める傾向があります。

あなた自身が望む変化そのもので在れ。

まず自分原点からスタートすること。

チェンジではなく、シフト。本質からの変化を起こす、とても大切なポイントです。変化を外に求めるとき、僕たちは昨日と同じ物語を今日も生きています。昨日をコピーすることに、そのエネルギーの大半を使っています。壊れたレコードのように、同じフレーズを繰り返しているようなものです。

そこに無い可能性をチラ見する瞬間があったら、それを選択肢に加えてください。

そして、望むなら、それを選んでみてください。

そこにちょろちょろとエネルギーを流しはじめてください。

僕たちがこの目の前の物語を生きているのは、いつだったか、その物語を生きると決めたからです。

先日、バンコクでなぜかゲーセンに立ち寄ったんですけどね。

タイではまずバーツをコインに換えて遊ぶシステムらしいです。

そこで、お札をコインに換えて、どう見ても日本から中古で流れてきたっぽいバトルゲームにで遊んでみました。最初はルールがわからなくても、2、3コイン入れているうちに、それなりに慣れてきてゲーム時間は長くなっていきます。

ゾンビと戦うゲーム。

最初はそのゲームを選んだ感覚を憶えています。だから、いつでも飽きたらゲームをやめられます。でも、その選ぶをコピーし続けていると、それをいつかの時点で選んだことを忘れてしまって、ゲームの世界から抜け出すことができなくなります。ゾンビはもうたくさん!って思っても、それを自分で始めたことを知っておかないと、やめ方もわからなくなってしまいます。

混乱というのは、ゲームに夢中になっている状態と似ています。

いつかの時点では暇つぶし、程度だったものが、自分の中で何か別のものに変わっている感覚があります。そのプレイを開始した瞬間のことを取り戻さなければ、ゲームそのものから抜け出すのは困難です。

もちろん、しばらくして僕はゲームをやめました。

そして、たいこの名人を始めましたが、それもすぐやめました。

コインに換えた100バーツが消えたからです。我に返ったように、そのまま最上階の食堂へ移動して、鳥の足が何本も突き刺さったクイッテオ(ラーメンみたいなの)をラビット(タイのSuicaみたいなの)で注文して食べました。

お腹を満たすと、夕日の公園を歩いてそのまま滞在先のホテルへ帰りました。部屋の窓からずっと下に、長方形のプールで楽しそうに泳いでいる水着の人たちが見えていました。僕はプールで泳ぐこともできましたが、その夜は、屋上のルーフトップバーへ行ってビールを飲みました。

今取り組んでいるゲームは、いつかの時点で自分が取り組むと極めたゲームです。

誰もがこの世界でもっとも取り組みたいゲームをプレイすることができます。

自分で選択することが確かに可能です。

自分を変える旅から、自分に還る旅へ。